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2024年7月29日「個人の入札価格決定の難しさ」

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東京地裁開札トピックス(24.7.29日号)

個人の入札価格決定の難しさ

 マンション価格の高騰は日々テレビなどで報道されている。23区内の新築マンションが平均で1億円を超える状況と聞くと、一般人は都内の中古マンションも押しなべて価格が上昇しているような感覚を覚える。しかし、現実にはマンション価格はその立地により大きく事情が異なる。

 7月10日開札では東武大師線「大師前」駅から徒歩約8分に立地する築34年の専有面積約13坪の3DKのマンションが対象になった。この物件の売却基準価額は986万円であったが、これに対し入札は1本しかなく、落札したのは個人で、競落価格は1351万円であった。売却基準価額986万円なので実際の最低売却価額である買受可能価額は788.8万円であるので、これに対する上乗せ額は562.2万円になる。物件価格に比してかなり高い上乗せ落札となった。しかし、築年と支線である駅を最寄り駅とすることや、住戸位置が1階に存することから相場を高く見積もり過ぎたのではないかとも思える。

 東京地裁の競売の場合、売却基準価額は取引事例を参考にせず設定されている。従って個人が入札する場合できれば近隣の不動産仲介会社複数に価格の意見を聞いてみる方が良いように思う。

 さらに本件の場合登記簿謄本を取ると、債権額2880万円の抵当権が設定されている。これが入札価格高値設定を誘引したようにも思う。このマンションは住宅ローン不正利用による売買の果てに競売になったと思われ、相場を逸脱した高値売買であったはずである。抵当権の債権額を入札価格設定参考にし過ぎても良くないのである。

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