2024年9月9日「新旧耐震構造での価格差拡大か」
東京地裁開札トピックス(24.9.9日号)
新旧耐震構造での価格差拡大か
東日本レインズの集計で今年7月の東京23区内の中古マンションの成約平均坪単価は390万円超えとなったようだ。これは平成バブル時代の相場を凌駕したように感じる。また成約マンションの平均築年数は24年くらいのようで、平成10年以降のものが主である。そんな中、昭和57年以前築の旧耐震基準のマンションの価格は相対的にかなり低く、市場ではその差が広がっているように感じている。
8月28日開札でJR京浜東北線「大森」駅徒歩約7分に立地する専有面積約10.5坪の1DKの部屋が対象になった。この物件の売却基準価額は961万円であったが、これに対し入札は3本に止まり、最高価900万円にて競落されていった。この部屋は月額7万円にて賃貸中で、なお且つこの賃借権は最先の賃借権であるので、競落者は承継せねばならない。
ただ賃借人の明渡しが難しいとは言え売却基準価額を6%以上下回り、専有面積坪単価が90万円未満というこの競落水準は中古マンション相場の高騰の中、かなり安く感じる。収益物件として考えても表面利回り年9%超で、東京の不動産ではなかなかお目に掛かれない水準だ。この割安の要因はずばり旧耐震基準建築であることにあると思われる。このマンションは1975年8月の建築であり、耐震改修工事は施されていない。もしこのマンションが新耐震基準であれば、おそらくは2倍程度の競落水準になったように思う。
先日政府から発せられた南海トラフ地震の警戒警報もあり、近時対地震の強度不足懸念がさらに相場に大きな影響を与えているように思う。