2025年8月25日「荒川区の借地権付建物に入札12本」
東京地裁開札トピックス(25.8.25日号)
荒川区の借地権付建物に入札12本
競売物件では借地権付建物が主に東京を中心に散見される。多くの場合入札本数は所有権物件に比し少ない。その理由は1つには競落後に買受人が敷地所有者(地主)に借地権の譲渡許可を取得しなければならず、さらにその際の地主の条件が不明確であること。2つ目は地代の不払いなどで借地権の解除を請求されることがあること。そして3つ目は概ね対象となる建物が古く、建て直しを要し、建て直しについての地主の承諾を譲渡承諾に加え要すること。などである。ただ7月30日開札で日暮里舎人ライナー線「熊野前」駅徒歩約8分に所在する借地権付建物には入札12本が集まった。
この物件、借地権対象敷地は私道(位置指定)に面する約10坪で、そこに木造3階建で延床面積約20坪の戸建てが建っている。売却基準価額は1084万円であった。この物件に二桁の入札があったのは、1つは建物が築14年と比較的に新しく、建て直しを要せず競落者は再販もできることで、地主の建替え承諾が不要であること。そして地代については滞納地代があるようであるが、債権者の申立てにより、債権者が地主へ現状支払っている。それ故に借地権の解除による消滅の危険性が低いことがあろう。もちろん地主に対する譲渡承諾料は必要であるものの、それ以外条件は悪くない。結果として最高価1810万円弱で再販業者が落札していった。この日同じく豊島区にて借地権付建物が競売に付されたが、こちらの方は入札が僅か2本に止まった。こちらの建物は木造で築55年が経過している。さらに地主が借地権解除の訴訟も検討とある。借地権付建物はその借地条件で大幅にその価値が異なるのである。