2025年9月1日「競売物件増加の気配」
東京地裁開札トピックス(25.9.1日号)
競売物件増加の気配
競売物件はまずは債権者の申立てが行われ、競売開始決定がなされると、次にそれに基づく物件の差押え登記が実施される。ここまでは債権者、債務者・所有者以外はその情報は掴めない。ただ差押え登記後、ほどなく「配当要求終期の公告」が裁判所よりなされる。
この公告は裁判所内に掲示され、対象競売不動産から配当を受けたいものは、債権届を裁判所にその終期(期限)までに提出することになる。裁判所はこれにて当該競売における競落代金の配当等を受けられるものの範囲を特定するのである。
この配当要求終期の公告が債権者、債務者・所有者以外が競売の事実を知ることになる。その後裁判所は対象不動産の現況調査、評価などを行い、物件明細書を作成した後、売却実施処分がなされ一連の売却手続きに進み、期間入札の公告が実施される。
配当要求終期の公告は期間入札の公告の数か月前になされることから、入札対象物件数の先行指標となる。東京23区等の昨年(2024年)1年間の公告数は924件あった。それに対し実際に開札を迎えた物件数は492件なので期間のズレはあるもののおおよそ半数が配当要求終期の公告以後取下げ等で競売市場から消える。
さてこの配当終期の公告の月ごとの数を見ると、2年以上に亘り1月100件未満であった。それが今年6月に27ヶ月ぶりに三桁の101件となり、続く7月は三桁弱の98件であった。そこから考えると今年12月あたりから競売対象物件の増加が予想される。入札を検討される方にとっては、競落チャンスが増加するだろう。