2025年9月29日「滞納管理費等の見込み違いか」
東京地裁開札トピックス(25.9.29日号)
滞納管理費等の見込み違いか
競売マンションにおいて特有のコストとして滞納管理費・修繕積立金がある。時には売却基準価額以上の金額となっているものがある。従前所有者の滞納管理費等は区分所有法に基づき競落した者に競落後管理組合から請求されることになるので入札者はその金額をコストとして捉え、入札金額を決定しなければならない。
9月10日開札で東急田園都市線「三軒茶屋」駅徒歩約11分に立地する築41年で専有面積約4.4坪のワンルームマンションが対象となった。このマンションの売却基準価額は114万円と極端に安い印象であったが、その要因が滞納管理費等である。現況調査報告書によればこの部屋の管理費等の滞納金は2021年8月から2025年2月まで38ヶ月分で約102万円と記されている。そしてこれに加え年利14%の遅延損害金約660万円が未納で併せて760万円強が管理組合の区分所有者に対し有する債権額とされている。
この物件の売却基準価額を算出するにあたっては、評価書においてこの物件の市場正常価格を約1100万円とし、競売による減価20%を考慮した値から競落者が競落後負うとする約760万円を差し引くという方法を取っている。
ここで疑問なのが滞納管理費等100万円強に対し遅延損害金約660万円となっているのは何故なのか、いかなる計算方法なのか、ということである。考えられるのは、2021年8月以前に多額の滞納があったため遅延損害金が累積していたということであろうか。累積した遅延損害金を支払わず滞納管理費等だけを過去支払ったのということかもしれない。
入札結果は8本の応札で最高価1300万円強にて個人が落札した。ただこの落札金額は多額の遅延損害金を考慮していないのではないか。そうでなければ良いかとは思うが、もし考慮していなかったというのであれば、管理組合にはこの遅延損害金計算根拠を請求すべきではないだろうか。