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2023年4月3日「明渡可能都心物件が高上乗せ落札」

東京地裁開札トピックス(23.4.3日号)

明渡可能都心物件が高上乗せ落札

 先日全国地価公示価格が発表された。それによれば大都市商業地を中心に価格上昇が2年連続であったとのことである。その中でも東京都心の土地は値上がりが顕著であり、都心再開発は活発化している。

 ところで再開発でその進行に障害になるのが、占有関係である。特に店舗については多額の明渡費用がかさみ、また移転までの時間も相当要する。ただ競売での処分であると、対象物件への抵当権設定後に賃貸が開始されたものは、その賃借権を買受人に対抗できず明渡を円滑に行える利点がある。

 3月14日開札ではJR中央線「飯田橋」駅徒歩6分の商業地32坪強とその上に建つ店舗・共同住宅が対象になった。この建物は築56年が経過する古ビルであり、積算価値はほとんど無く、評価書でも300万円強と小さな金額である。ただこのビルには現状3店舗が営業していて、月額19~24万円にて賃貸中である。もしこの物件が任意売却となれば、立退料はは少なくとも6000万円程度は掛かるだろう。

 しかし、これら3店舗は全て抵当権設定後の占有開始であり、買受人に占有を対抗できない。残る権利は買受人の代金納付後6か月の占有だけであり(明渡猶予)立退料は買受人に請求できない。

 そんなことで売却基準価額9440万円に対し入札は29本集まり、最高価21400万円弱と売却基準価額の3倍近い水準で落札されていった。

 任意売却では明渡交渉で立退料の金額は去ることながら、その立退き時期についても調整が難航したであろう。競売は再開発を促進させると言える。

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