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東京地裁開札トピックス(25.3.31日号)

法定地上権付建物が高上乗せ落札

 法定地上権は債権者が設定する抵当権が登記された時、既に土地の上に建物が存し、且つ土地、建物とも同一の所有権登記名義であった場合において、競売により建物と土地の名義が別々になると、その建物にその敷地に対して発生する。競売市場ではあまり見られない法定地上権物件ではある。ただ銀行等が競売により回収したい債権額より、競売対象の土地建物の価格がかなり上回る場合に超過売却として、建物と地上権だけが競売対象になることがある。3月12日開札で、東京メトロ半蔵門線「水天宮」駅徒歩約1分に所在する土地付建物がまさに法定地上権付建物(建物:築約25年鉄骨造2階建て延床面積約53坪、地上権対象土地:約25.5坪<幅員6m区道に面す>)であった。

 登記状況を見ると平成19年に債権者は1億2000万円を貸し付けているが、競売申立てはその17年後の令和6年である。おそらくはこの融資の残高はかなり減っていて数千万円程度ではないだろうか。一方この物件の評価額は折からの都心地価上昇の影響もあり敷地と建物の一括評価は9000万円を超える。とすれば競売の売却基準価額は6500万円程度となり、買受可能価額は5200万円と推測される。

 想像するに債権者の競売申立て債権は、これを下回るのであろう。裁判所としては超過売却(債務者にとって売られ過ぎの状態)と判断し、土地底地部分は競売から外したのだろう。

 その結果売却基準価額は5169万円となり、これに対し12本の入札があり、最高価1億3800万円にて競落されていった。売却基準価額の約2,7倍の高水準であった。もし底地を含めた一括売却であったらこれを上回るかなりの上乗せ競落であったであろう。

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