2024年10月7日「路線価の遅行性を感じる競落」
東京地裁開札トピックス(24.10.7日号)
路線価の遅行性を感じる競落
都心商業地の相場は過去平成バブルとその崩壊、そして2000年代に入っての証券化バブルとその後のリーマンショックでの崩壊と過去40年弱の間に2つの大きな上昇と下降を記録している。都心の相続路線価の推移を見るとそれは明らかである。ただ、その相場の実態は路線価の推移とかなりラグがあるように思う。過去2008年12月4日に銀座の外堀通り面の土地と古ビルの対象物件があった。それは買受可能価額ベースの土地坪単価1坪3300万円であったがそのとき入札者が無かった。当時の路線価とほぼ同水準であったが応札が無かったのである。ちなみに2008年の相続税路線価は平成バブル時の9割水準まで戻り、上昇していた。しかし、実勢はこの年は既にバブルが崩壊し価格は下降していたのである。
一方この9月26日では東京メトロ銀座線「京橋」駅徒歩約1分に立地する土地16坪と、その上の古ビルが開札対象であった。入札結果は売却基準価額9360万円に対し、応札が32本に上り、最高価3億760万円で競落された。競落の土地坪単価は1900万円を超える価格であり、売却基準価額の約3.3倍で且つ路線価の約2.7倍に相当する。この結果で路線価が実勢相場に追いついていないのが分かる。過去の競落状況から見て路線価は実勢価格の動向に対し、おおよそ1年間程度は遅れているように思う。ちなみに路線価が高い時に都心土地の相続が発生すると、高い相続税負担があるのにも拘わらず換金水準が低いという不利を被ることにもなる。路線価の遅行性は注意したい。